三砂良哉は大正・昭和にかけて大阪で活躍した漆芸家です。西宮の酒造家に生まれ、幼少より守住貫魚に日本画を習い、明治30年代に漆芸の道に入りました。その後、武者小路千家や大阪の豪商数寄者たちとの出会いがあり、彼らの好みに対して風流な作風で応えました。2024年には係わりの深かった小林逸翁の逸翁美術館にて、三砂良哉の初の展覧会が催されています。
こちらの作品は溜透塗地に螺鈿にて木賊を蒔絵したもので、内側は梨子地となっています。螺鈿の上から金線を描き、その下から見える光の色を計算されて造られている印象です。底部に「良哉造」の掻き銘があります。
共箱は珍しく裏千家の淡々斎の書き付けが添っており、非常に仕立の良い箱です。また共の覆い紙も残っていて、「木賊絵利休形長棗/九月/「良」(印)」と書かれており、あるいは12ヶ月の一連の作品の一具かとも推察されます。
大阪工芸の特長である、『風流』を感じられる一品です。
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