渡辺喜三郎は二代・三代と益田鈍翁などの近代数寄者に薫陶を受け、その美意識に適った優れた漆工芸品を多く制作した。喜三郎の作品は、光にかざすと向こうが透けて見えるほどの木地の薄さが特徴で、その粋な仕事に江戸風の塗りが加わり、素朴ながらも洒脱な雰囲気を持っている。
本品は、東京国立近代美術館収蔵の「茶器 こま」と同手品であると思われ、制作時期も同じく昭和48年頃と思われる。